つまらない相場が続いている。為替相場は膠着し、株式相場も伸び悩んでいる。市場の変動率はじりじりと低下し、注目すべき大きなテーマもそれほどない。
なぜ退屈かといえば、エコノミスト相場になり、レンジの中を方向感なく漂っているだけだからだ。
例えば、今後の米国経済に強気なエコノミストは、回復の様をⅤ字型だといい、弱気な人はいやいやⅤ字などはありえず、L字型のような低空飛行になると予想する。最近ではW字型では?つまり最近の回復はW字の最初の反発に過ぎず、またすぐに大きな下落がやって来るという人もいる。
確かに先行きの経済見通しについて大きなイメージを持つことは重要であるが、日々刻々と変化する経済情勢について、しかもその未来を正確に把握することなど不可能である。従ってそんなテーマが市場の注目を浴びるような環境では面白い相場になるはずがない。
また、最近話題の出口戦略と長期金利の動向も同様だ。政府が緊急時から通常の世界への出口と向かう政策の変更を出口戦略と呼んでいる。
各国が世界的な不況を克服すべく、とんでもない規模の金融緩和、政府支援を実施してきた。こうした環境を長期間放置すると、市場はインフレが発生してしまうと懸念されている。しかし、ちょっと考えればこれは当たり前のことだ。緊急時に対処するための異常な政策は、経済が安定化すれば解除されるに決まっている。
問題は経済が安定するとは、どういうことか、そしてどのタイミングで方向転換すべきかということが、誰にも分からないことである。議論を尽くしても、そんなことは分からないのである。
長期に渡って景気刺激策を継続すれば、インフレが発生するかもしれないし、国の財政状態はどんどん悪化する。政府は国債発行によって資金を調達するため、大量に発行される国債入札への懸念も起こる。そうしたインフレ懸念はリスクプレミアムと呼ばれ、長期金利の上昇を引き起こす。
長期金利が上昇をすると、困るのは誰か?今一番困るのは住宅ローンの借り手である。ローンの金利が上昇し、ようやく改善の見え始めた住宅市場が再打撃を受けるからだ。
一方で早すぎる金融引き締めはどんな影響を及ぼすのか?インフレ抑制には効果があるかもしれないが、当然経済にはマイナスである。それが脆弱な回復途上のよちよちの経済なら、小さな打撃も深刻なものとなる。ちなみにこれまで米国政府は雇用が悪化している状況で金利を引き上げたことがない。それは早すぎる利上げが雇用喪失を招くことを恐れているからである。
繰り返しになるが、そんな状況を適切に把握し、絶妙のタイミングで出口戦略を実行することや、その政策によって長期金利がどのように動くかなどは、誰にも分からないのである。
ついでだから、もう少し話を進めよう。
為替市場と長期金利の動きは興味深い。長期金利が上昇してその国の通貨が売られる場合と、長期金利が同じく上昇して、通貨が買われる場合がある。
前者の動きは、「悪い金利の上昇」と呼ばれ、金利上昇の理由は先に述べたようなインフレ懸念の増大により説明され、後者の動きは「良い金利上昇」とされ、その国の景気が活況となった結果、金利上昇期待が高まったことで説明される。どちらも解釈一つのことであり、実にいい加減な話だ。
従って長期金利うんぬんやインフレ懸念などというものが、通貨の動きを左右するときは、為替相場はとたんにつまらなくなる。私は為替トレーダーの経験が長いが、国債の先物トレーダーの経験も僅かだがある。為替取引に慣れた人間が、債券のトレーダーなどやると、皆一様にこう言う。「う~~~~じれってーーー」
債券先物取引が簡単なわけでは決してない。私などは為替取引では勝てたが、債券では損ばかりしていた。債券相場の特徴はあまり変動しないことである。為替相場の変動率は10%以上あり、最近では20%近くもあったが、債券相場の変動率は最近こそ多少の動きはあるが、通常は5%、6%程度に過ぎない。派手に動かないのだ。従ってそんな相場に連動して為替相場が動くとしたら、つまらないレンジ相場になるのは自明の理だろう。
そんなわけで、市場はよく分からない、あるいは様々に解釈できる将来に目を向け、結果動けずにいる。早く大きな動きが出ないかな~~と待ち遠しい・・・
最近のコメント